山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【厳冬期登山】厳冬期赤岳 日帰り登山 赤岳山荘ピストン2023.2 

厳冬期の赤岳へ

雪山登山をするようになって、ずっと目標にしていたのが厳冬期の赤岳です。今回の相棒は昨年2月の硫黄岳で爽快な雪山デビューを飾った後輩KY氏です。私と同じく登山と自転車の両方の趣味を持つ唯一の仲間であり、私と同じかそれ以上の健脚の持ち主なので体力は問題なし。

ルート

美濃戸口から先を車で入り赤岳山荘をスタート地点にします。このブログで何度も主張していますが、私は八ヶ岳山荘→赤岳山荘の間を走破するためにジムニーを買いました。赤岳山荘をスタートした後は南沢ルートで行者小屋を経由し文太郎尾根を登って赤岳山頂を踏み、地蔵尾根で下山する計画です。体力と時間と状況によってはもう一座くらい踏むつもりで、逆に怪しければ撤退を辞さない方針です。いのちだいじに。 

車を選ぶ厳冬期の美濃戸口

AM6時55分、登山開始します。5時起き5時半集合で約1時間後には登山スタートできるので山ヤにとっての甲府暮らしは最強です。

1月末の歴史的寒波によりようやく白化粧をした八ヶ岳ですが、八ケ岳山荘から美濃戸口までの例の林道は去年より雪が少なく轍も圧雪されていたのでスノータイヤ+4駆モードで難なく走破してくれました。当然金属チェーンも積んでいましたが、果たしてジムニー+金属チェーンが必要になる局面があるのか疑問です。

行者小屋までは雪道ハイキングです。やはり去年に比べて地面の露出が多く雪は少ないです。行者小屋までは基本登り基調ですが傾斜は緩いのでアイゼンは不要です。道に迷うこともまずないと思います。

登山あるある「大きな岩の下に木の枝立てられがち」

1時間も進むと山が見え始めます。

絵本に出てきそうな冬の八ヶ岳の森の中。この景色を見ると八ヶ岳に来たという感じがします。

山の姿が見え始めると行者小屋まではあと少しです。しかし天気予報は完璧だった割に空が晴れません。

行者小屋

登山開始から2時間弱、行者小屋に到達しました。距離的にはほとんど終わっていますが、ここから先が核心部です。それにしても八ヶ岳ブルーどころかここから見えるはずの硫黄岳〜阿弥陀岳がはっきりしません。太陽が雲越しに透けているのでまだ晴れる見込みはありそうですが…。

今シーズンの行者小屋に泊まれるのは年末年始のみなので泊まるならテント泊しかありません。重装備の人たちは幕営を始めていました。環境的には木々に囲まれて風が遮られるので雪山テント泊デビューに良さそうな立地です。小屋はやっていないもののトイレが使えるのはありがたいです。

赤岳山頂はちょうど雲に隠れるも、その向こうの空が明るいのできっと晴れるとまだ信じていた頃です。

阿弥陀岳と中岳。

ここで先頭交代。雪山デビューから1年の後輩KY氏。重厚感が増しています。

行者小屋を過ぎると本格的な登りが始まる

行者小屋までは息が切れるような斜面はなくてノンストップで歩けました。行者小屋まではむしろ積雪期の方が歩きやすい気がします。そして行者小屋から先は急登が始まります。それもそのはずで行者小屋から山頂までのわずかな距離で800m登ることになります。

階段は半分くらい雪に埋まっていて絶妙に歩きづらいです。

いよいよ樹林帯の終わりが近づきます。ここから風が強くなることが多いので吹き付ける風に警戒します。

樹林帯を抜け、眺望が広がる

樹林帯を抜けて振り返ります。麓の方はある程度晴れていますが変わらず雲が多いです。予報とぜんぜん違うじゃねえか!

高度感あふれる階段エリアです。この日は爆風とまではいかないまでも強風が吹き付けるので視界が悪い環境です。ここは滑ったら止まれなそうですが、一応鎖もあるし雪も凍ってはいないので焦らなければ大丈夫。

天気が悪くても岩肌のカッコ良さは変わりません。のちにアルパインクライミングのパーティがここを登っていました。

横岳方面。右上に見えているのは赤岳天望荘です。

振り返ると霧ヶ峰高原。例年よりだいぶ白いです。

赤岳-阿弥陀岳間の中岳。

外界は晴れてるパターンかと思いきや薄い雲に覆われています。やはり今日の天気予報は悪い方に外れてしまったようです。

阿弥陀岳、赤岳分岐

文三郎尾根を登り切ると阿弥陀岳、赤岳分岐点。いよいよここから赤岳の岩稜帯に取り付きます。

個人的に赤岳周辺で一番好きな景色は中岳-阿弥陀岳方面を望むこの景色。しかし完全にガスってしまって見えません。

この太陽はワンチャンあるのか最後のともしびなのか…

頂上直下 岩と氷のミックス帯

ようやく厳冬期登山の名に恥じぬいかついポイントへ

麓は雪が少ないとはいえ、看板がここまで埋まっているので山頂付近はそれなりの積雪量です。

赤岳の名の由来である赤い山肌が雪の間から顔を覗かせます。

岩と雪のミックス帯では予期せぬところに刃が引っかかったり足がハマったりするので足運びの難易度は高め。夏山と同じく三点支持の要領で進みます。ようやく楽しくなってきました。

生き物を寄せ付けない雰囲気すら感じる頂上直下の岩肌。

登った身としては足場がちゃんとあるし雪が凍って滑りやすい状態でもないので易しめだなと思いました。しかしこうして写真だけ見るとさすがに「岳」の世界と遜色ない雰囲気です。

権現岳との分岐看板が出てくれば頂上はすぐそこ。

赤岳山頂

行者小屋から1時間半、10:26遂に赤岳山頂です。登頂しました!

背景真っ白で写真は地味ですがここまで来られたと結構感動しました。

厳冬期赤岳やってやったぜという証拠写真。厳冬期の景色を見られなかったのは残念ですがここまで難なく来られるくらいには経験を積んできました。成長を感じます。

環境は…気温はマイナス16度、体感風速は12~15mくらいで氷が舞って目に刺さるのでゴーグルとバラクラバが外せません。やはり過酷です。

山頂から目と鼻の先の頂上山荘の壁で風を凌ぎながら作戦会議です。体力的にはお互いまだまだ余力があったものの、天気回復の見込みはなさそうです。景色がないならば縦走するモチベーションがなく、無駄に危険になるだけなので来た道のピストン下山に変更です。

登山家な柴犬に遭遇

文太郎尾根を下っている最中…なんと柴イッヌにエンカウント。

飼い主をリードするようにひょいひょいと登っています。飼い主の方に聞くといつも一緒に登山しているそうです。ノーアイゼンですごいヤツです。

飼い主の方も相当な手練のようです。きっといくつもの山々で登山者たちを驚かせてきたに違いありません。面白いものを見させてもらいました。

アルパインクライマー達の姿。どうやって登るのか見当もつきません。恐ろしいですが天気が悪くても楽しめそうなので山登りにもいろいろな形があるなと再認識しました。

登りで息を切らせた急登は雪山の下山時にはボーナスタイムに変わります。これはシリセードで行者小屋まで一気に滑り降りている写真です。

行者小屋でアイゼンを外してストックに切り替えてハイスピード下山です。赤岳山頂からの復路はなんと2時間。健脚コンビなので昼過ぎには下山しました。外界は気温が上がったようで、美濃戸口に近づくにつれて朝より地面の露出が増えていました。

麺屋蔵人、茅野本店

下山後は私の師匠イチオシの麺屋蔵人、茅野本店に向かいます。到着は14時を過ぎていましたが駐車場はほぼ満車で3組ほど並んでいる状態でした。

これが名物焼き味噌ラーメンです。麺が太くてモチモチ食感、そして特筆すべきはスープ。あつあつうまうまです。

 

自分の厳冬期登山の最終目標に設定していた赤岳をついにクリアしました。雪が少なめというコンディションの影響もありますが予想よりサクッと登れてしまいました。やはり2週間前の黒戸尾根の方が圧倒的に体力・技術共に高度でした。

自信が付いたとともに、今後のステップアップをしていくべきなのかこのくらいの難易度を上限にしておくべきなのか悩ましいところです。しかし厳冬期テント泊の装備を揃えるには金銭的なハードルが高いので、当面は雪山は日帰りの範囲内で楽しもうと思います。

厳冬期赤岳日帰りピストンでした。