山と自転車

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【厳冬期 黒戸尾根登山】甲斐駒ヶ岳、黒戸尾根ルート日帰りピストン2023.1.21 

厳冬期の黒戸尾根日帰りしたら結構すごいんじゃないか?

なんて思い立ったので行って参りました。超スーパーハイパーエクストリーム登山でした。

ことの始まりは不意に現れた休日

仕事の予定表を眺めていたら珍しく土曜日が完全休みなことに気づきました。しかも日曜日も休みです。翌日にダメージが残っても大丈夫なので無敵です。鍛えるためにも少々ハードなところをやろうと決め、仕事中も上の空でどこへ登ろうか考えていたら序文です。

黒戸尾根は昨年夏に日帰りで初挑戦し、達成はしたものの天気が悪く眺望はほぼゼロ。山頂の景色を拝まずには終われないのでリベンジも兼ねて再訪です。

www.mount-road.com

甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根とは

尾白川渓谷をスタートし甲斐駒ヶ岳山頂までの標高差2200m、獲得標高2400mを超える道のりであり、日本百名山の生みの親、深田久弥氏が「日本アルプスで一番つらい」とまで言った過酷な登山道です。

標準コースタイムは登り9時間、下山5時間半と計15時間近く、多くの人は途中にある七丈小屋を利用した1泊2日で登るルートです。長くて過酷ですが危険箇所はそれほど多くなく、トレイルランナーからも人気を博しています。ただしそれは夏の話。

厳冬期の黒戸尾根について

黒戸尾根は厳冬期には過去に滑落による死者が出ています。それも決まって8合目付近のルンゼ下山時に起こっています。雪の量や状態によってその難易度は大きく変わるといい、基本的には1~2月は雪が締まっていて、雪が緩み始める残雪期の方がむしろ危険らしいです。

今年2023年1月現在は遠目に見ても明らかに例年より雪は少なくて、SNSで調べた情報を見ても登山道は雪が締まっているという声が多く「この条件下なら挑戦できるのではないか」と考えました。

計画・山行データ

事前計画

厳冬期ゆえ装備はどうしても重くなる上、雪道は夏よりも歩みが遅くなるので同じルートでも夏よりも時間がかかります。私が夏に登頂した時のタイム+2時間の12時間を目標に設定しました。

一番大事なのは死なずに終わること。例え登頂を諦めることになっても死なないことが一番大事です。まずはできるだけ早く登頂開始して、とりあえず七丈小屋、8合目までを目指します。ここまでは危険箇所は限られてくるので純粋な体力勝負です。

そして七丈小屋に着いた時点で「明らかに自分のレベルを超えているようであれば躊躇わず引き返す」あるいは「13時までに山頂に着けないと判断した場合も引き返す」とルールを決めました。そして最初に言ったように一番大事なことは「登頂を目標にしないこと」です。

無理だと思って撤退するのも含めて経験値です。死なないことがまず当たり前にして一番大事。この機会にまだ入っていなかった山岳保険、ココヘリに入ることにしました。

山行データ

黒戸尾根アタック

AM5時 黒戸尾根登山口 尾白川渓谷駐車場

AM4時に起床し2人前のパスタを胃袋に詰め込み、5時に登山口である尾白川渓谷駐車場に到着しました。ここまで下道で45分というアクセスの良さが甲府盆地住みの最強なところです。

駐車場には10台ちょっとが停まっていて、自分の他2組が出発の準備をしていました。満天の星空のもとで凍えながら準備をします。序盤は雪山装備の出番はないと思われたのでシェル、ゲイター、アイゼンはザックの中に詰めて身軽になっておきます。

クライム・オン

そして5時21分、登頂開始です。当然真っ暗でヘッデンがなければその時点でリタイアです。

駐車場から5分ほど歩くと駒ケ岳神社です。無事に帰ってこられるように祈りを捧げます。

尾白川を渡る吊橋。異界への入り口じみています。こわすぎる。SIRENかな?生きて帰って来られるか不安になってきました。

登り始めると市街地の明かりが見えてきました。みんな暖かい布団で眠っているのに何をしてるんだ俺は。

登頂開始から30分ほど経過すると日の出の気配がしてきました。

早くも富士山が顔を覗かせます。

スタートから1時間もするとヘッデンが要らなくなるくらいには明るくなり空が見えてきました。雲もなく蒼天、想定以上の良コンディションです。登山道にはところどころ雪ほぼ氷が張っているくらいで、積雪というほどの状態ではありません。

森の中で朝を迎え、木々の間からではあるが御来光を見ることができました。序盤はごくごく普通の登山道なので心を無にして足を踏み出し続けます。

登山道はある程度整備されているものの、ところどころ立ち止まって行き先を確認したくなる場面があります。明るくなっていたから先が見えましたがヘッデン頼りの状況では少し迷うかもしれません。ちなみにアルパインクルーザー3000で普通の登山道を歩く申し訳無さ(靴に対して)を感じています。

絶望看板

黒戸尾根の絶望看板です。私が命名しました。登山開始1時間ほど、息が切れる間隔が伸びて身体が山行に慣れ始めた頃に最初に出てくるチェックポイントの笹の平分岐点です。ここまででも既にそれなりの運動強度は。来るぞ来るぞと分かっていても7時間の表記は攻撃力が高いです。

笹の平分岐点を過ぎると登山道の大半が雪をまとうようになりました。といってもほとんどアイスバーンでまだまだ雪山登山とは程遠い状況です。途中で抜かした先行者は既にアイゼンを装着していて、私も分岐点から15分ほど進んだところでアイゼンを装着しました。

実際のところ笹の平を機にアイゼンを装着するのがちょうど良いと思います。ただしまだまだ木々に囲まれ続けるのでシェルは取っておきましょう。

木々の切れ間に目をやると鳳凰三山、地蔵岳のオベリスク。

刃渡り

変わらぬ景色の中を進み続け、最初にちょっと開けたかなと感じるであろうポイントがこの刃渡りです。黒戸尾根と調べれば難所感を出すべくここの写真がよく出てきますが、実際は道幅が多少狭いだけで意外と難易度は低めです。

確かに両側が切れ落ちていてまさしく刃のようになっていますが、鎖もあるし岩の凹みが道になっているので岩場に慣れていれば問題ありません。この鎖も全て埋まってしまうくらい積雪していれば危険度は跳ね上がりそうですが、この辺りはまだまだ低山に含まれるエリアなので雪に埋まることはなさそうです。

刃渡りは特別な技術がなくても焦らなければ難なく通過できると思われますが、この通りの切れ落ち具合なのでもし何かがあって滑ってしまえば谷底まで一気に落ちます。

北杜市の町並みと八ヶ岳方面です。中央の白くなっているのは主峰赤岳やその周囲の阿弥陀岳や権現岳。今年はまだまだ雪が少ないようです。

刃渡りを超えると夏にも通った木の階段が現れました。アイゼンの刃が刺さって登山道を傷付けるのは心苦しいものの、安全第一で通過します。

刀利天狗

刃渡りを過ぎると2つ目のチェックポイント、刀利天狗。そろそろ黒戸山のピークに到達して五合目への下りが近づいています。

黒戸山のピーク辺りから完全な雪道になりました。日の当たらない道も多いのか雪の下は凍っていました。

黒戸山から五合目までは100mちょっと下ります。登り通しだった往路では小休止に感じられるポイントですが、帰りはここの登り返しがかなり効きます。

途中に休憩に適した感じの広場。

pseudo summit

この写真を見て「ついに山頂が見えてきた!」と思った人います?黒戸尾根を登って最初に山頂だ!と感じるポイントです。しかし安心してください。ここはあの黒戸尾根です。そう簡単に山頂は拝めません。今見えているピークは山頂どころか8合目ですらありません。pseudo summitです。

鞍部になっている五合目まで下ります。

黒戸尾根 5合目

五合目。ハウルの動く城の如く、自然に擬態した小さな城のような佇まいのここから先は木のハシゴや鎖場が現れ始めるので少しスリリングな道になります。

祠の右側に、城への入り口が続いています。ハシゴやら鎖があるとはいえここからは落ちたら軽い怪我では済まなさそうな急登になります。

ハシゴがあるということはほぼ垂直に登るということで、なかなかの高度感です。しかしアイゼンを着けているとハシゴが厄介です。刃が食い込む感触が不快だし意図せぬ場所に刃が引っかかって足運びにストレスを感じます。しかしここを登りきれば七丈小屋まであと一息です。

スタートから5時間 七丈小屋

「あと一息」とは言ったもののここはあの黒戸尾根です。五合目からここまで1時間かかります。そして七丈小屋から先は稜線歩きがメインになるので雪山としては正念場です。ここでしっかり休憩をとりつつシェルを纏いました。

さて、到着時刻は10時です。ここまでの所要時間は夏の時のタイム+1時間の4時間半。夏の時は七丈小屋から山頂まで1時間半だったことを考えると、ここまでと同様プラス1時間として2時間半。余裕はありませんが時間的にはタイムリミットの13時までに山頂を目指すことはまだ可能と判断しました。

あとは技術的な判断です。これから下山するという小屋泊の人々に山頂までの様子を尋ねると「8合目までは風が強いものの山頂はほぼ無風」「例年より少ない雪も締まっていてラッセルどころかワカンも要らない」とありがたい情報を頂きました。なればあとは体力のみ!

10時半、全ての装備を身に纏い山頂に向けて出発しました。

七丈小屋から少し登ったところにはテント場があります。このテント場から稜線に出るまでしばらく急登です。下山時にはシリセードで楽をさせてもらいましたが登りはめちゃくちゃしんどいです。

七丈小屋から急登を過ぎると遂に、この長い過酷な黒戸尾根の稜線上に出ます。

黒戸尾根 ようやく稜線へ

本当に天候に恵まれました。振り返れば八ヶ岳の全体像。主峰赤岳の高さが際立っています。

この通りトレースはしっかりついていて、アイゼンも良く効きます。とはいえトレースを外れると膝くらいまでは沈み込むので雪が少ないとはいえ油断はできません。沈み込んだ先に地面があるとは限らないので…。

有名なのは烏帽子岩の2本の剣ですが、最初に出てくるのはこの1本です。

稜線に出始めてもこの斜度です。自分の身体じゃないくらい息が切れるので5歩進んで立ち止まります。

辛い登りですがちょっと休んで振り返ると爽快な景色がそこにはあります。北八ヶ岳、蓼科山から霧ヶ峰高原です。

8合目 御来迎場

ひいひいしながら8合目御来迎場2687m。ここまで来てようやく山頂が見えました。そう思いました?しかし安心してくださいここはあの黒以下略。

ここまで来てもまだ、写真奥に見えているピークはまだ山頂ではありません!しかも冬の黒戸尾根の核心部はここから先です。

厳冬期黒戸尾根の核心部 DANGER ZONE

そして二本剣の烏帽子岩が見えてきた辺りから、過去に滑落死亡事故が起こっている核心部の中でも最重要ポイントです。

しばらくは烏帽子岩を目指して進みます。

そしていよいよ滑落危険ポイントへ。この景色をよく覚えておいてください。写真の◯で囲った岩から烏帽子岩までの間が危険ポイントです。夏季ルートはこの岩から先を左周りで進みますが、雪の量が多い冬季ではこの岩を右周りにしてルンゼを登ることになります。こここそが過去に何度か下山時の死亡事故が起きている場所で滑落すると500m落下しまず助からないというポイントです。毎年ではないものの数年に一度は必ず死亡事故が起きています。詳しくは下記リンクの情報を参照してください。

【拡散希望】重大事故が発生しました

www.lostarrow.co.jp

ただし幸いなことに現時点では雪が少ないため、行きも帰りも夏と同じく左周りのルートを進むことができました。安心。

安心とはいってもこの通りのナイフブリッジです。一瞬も気を抜くことはできません。ピッケルフル活用です。

なるべくピッケルを突き刺してアンカーにして進みますが、やはり鎖の存在はありがたいです。

歩んできた道のりを振り返ると身がすくみます。おしっこ漏れそうです。同じ道で下山しなければならない事実は今は忘れます。

核心部を抜け、ようやく二本剣と並びました。彼方には富士山が浮かんでいます。

この烏帽子岩を超えると道は再び温厚さを取り戻し、天空の稜線歩きです。そしてここまで来て、残り200mアップを切ったという辺りで…

やっとやっと山頂が…?

てっぺんにあるのは岩か?山頂か?

いや、祠だ!!

普通の登山道基準のあと一息くらいになったラストスパート、本当に本当にようやっと山頂が見えてきました!しかしラストもラストよ。勿体ぶりすぎだろ。

あと一息。登る体力の限界は近いです。

摩利支天方面との分岐を過ぎ甲斐駒ヶ岳山頂に向かいます。

スタートから7時間 黒戸尾根山頂

時刻は12:30、登頂開始から7時間9分、遂に甲斐駒ヶ岳山頂に到達!!!!!うおおおおおおおお

山頂独り占めだぜいえーい!!

これが厳冬期黒戸尾根を制した英雄の姿です。ご査収ください。三脚忘れたので傾いているのはご愛嬌。

南アルプス方面

この景色だけは山頂までたどり着かないと拝むことはできません。

私が山バカになった思い出深い南アルプスの女王、仙丈ヶ岳です。

遠目に見てもとんでもなく雪の量が多そうです。カール地形が美しく、女王の名に恥じることのない堂々たる佇まいです。

鳳凰三山と富士山

道中何度も心を救ってくれた鳳凰三山と富士山。何度も言いますが独立峰でこれだけ高い富士山の存在は唯一無二過ぎて畏怖の念を覚えます。なむなむ。

中央アルプス

中央アルプスの山々と写真右端に、独立峰の御嶽山。

中央アルプスは結局木曽駒ヶ岳しか登ったことがないので開拓したいと思い始めて2年くらい経ちました。今年は空木岳へのテント泊縦走をやってみようかな。

御嶽山

御嶽山。アクセスが遠いのとコースタイムが長く日帰りが難しそうなのがネックです。

鋸岳方面

甲斐駒ヶ岳から、悪名高き鋸岳方面への稜線です。遥か遠くは雲ではなく北アルプスの山々です。

乗鞍岳

恒例の山座同定タイム。まずネコ耳のような二峰ピーク、乗鞍岳。

焼岳〜穂高岳

乗鞍岳から右方面に視線をやると焼岳、そして少し距離をおいて穂高の稜線につながっています。

北穂高岳〜大キレット〜槍ヶ岳

どこから見ても一発で分かる、写真ど真ん中の切れ込みが大キレットです。左に北穂高岳〜奥穂高岳、右に槍ヶ岳が見えています。

さらに右に続くのは白馬方面の稜線。こちらは槍穂高に比べさらに白さが増しています。

霧ヶ峰〜美ヶ原

右下の台地地形は霧ヶ峰、奥の台地地形が美ヶ原。その間を繋ぐビーナスラインは去年2回訪れた思い出深い場所です。

八ヶ岳

八ヶ岳全体像。左端に諏訪富士こと蓼科山、北横岳。右端には主峰赤岳が飛び出しています。

八ヶ岳方面をよく見ると、登山初めで拝みに行ったガトーショコラこと浅間山が見えました。

金峰山

うっすら雪がかぶっているのは秩父山脈最高峰の金峰山。瑞牆山にはまだ雪はなさそうです。

地球を感じます。フォッサマグナ。

そして最後に仙丈ヶ岳と同じく、この山頂からしか拝めない日本のNo.2北岳。連なる稜線があまりにもカッコいい。広河原から日帰りアタックが可能な北岳ですがどうせなら泊まりで…と考えているうちに2022年を終えてしまいました。

厳冬期登山でも大活躍 ジェットボイルミニモ

そして前情報通り、山頂は無風とまでは行かなかったもののこの時期の3000m級としては非常に穏やかで、食事を摂る余裕がありそうだったのでガッツリとチャージすることにしました。

相棒はジェットボイルミニモ。何となくキャンプ用なイメージがあり山岳ユースには向かないと思われがちですがこの通り。実は厳冬期の3000m級でも爆速湯沸かしという仕事を完璧にこなしてくれる信頼のおける山道具です。ジップロックにはカロリー重視で選んだピザポテト。こいつも行動食として実に良い選択でした。

この時期の山頂で30分滞在できたのは非常に幸運だったと思います。誰もいない山頂をあとに、13時に下山開始です。できれば明るいうちに山行を終えたかったので17時下山が目標です。

恐怖の下山

視野が開けた稜線の下山は雪山では久しぶりで緊張します。

登りはあまり気になりませんでしたが、下りでは嫌でも斜度を意識してしまいます。ここでの滑落はあまり例がないだけで、うっかり滑れば相当下まで落ち続けると思います。

どこもかしこもトレースのすぐ脇がスパッと切れ落ちていやがる!

多少の恐怖心を感じながらもあっという間に烏帽子岩までやってきました。ということは夏季ルートで下山できるとはいえ最も気をつけなければならないポイントに来たということです。

このルートなら500mは落ちなさそう…ですがそれでも相当な急斜面です。滑落すればそれなりに酷い目に遭って不可逆的な怪我をしそうです。ここを抜けて七丈小屋まで帰れば危険箇所は終わったようなもの。最後に集中を高めます。聞こえるのは吹き付ける風と自分の呼吸音だけで、映画のようでした。

現場にいる時には何も感じないのに振り返るとよくこんなところ歩いたなと思うのは登山あるあるだと思うんですけど、黒戸尾根にはそういうところがたくさんあります。

写真では伝えづらいですが一番難易度が高かったのがこの鎖場でした。写真左の岩が手前にせり出して屋根のようになっているSASUKEにありがちな地形なので、鎖を使っても登るのが非常に難しかったです。下りではさらに難しいのでエイヤと飛んでピッケルを地面に突き刺しストッパーにして着地しました。

日没間近の甲府盆地

難所を越えて小休止。気付けば西日になり始め甲府盆地が優しい日差しに包まれています。中央やや左の高いビルが山梨で最も高い人工建造物の甲府駅のマンションです。甲斐駒ヶ岳が見えると宣伝文句に使われていた気がします。甲府から甲斐駒ヶ岳を見ているとき甲斐駒ヶ岳もまた甲府を見ているのだ。

西日に照らされる地蔵岳。高度を落としてきたことに安堵します。

行きは笹の平分岐を過ぎてからアイゼンを装着しましたが、路面状況は下山時の方がより気をつける必要があります。凍った雪が枯れ葉に隠れてトラップ化していたため、泥が付くなと思いつつもアイゼンを外すのは危険と考え、笹の平分岐を過ぎるまでは装着しておきました。

アイゼンを外してからはトレイルランばりの小走り下山で時間を稼ぎます。

渓谷の文字が!

行きは漆黒の闇の中、明らかに異世界への入り口だったこの吊橋も、おかえりと迎えてくれたように感じました。

下山開始から3時間55分、16:55に駐車場に帰還しました。ギリギリ日没前で金峰山のアーベントロートを拝みます。なんと朝焼けから夕焼けまで1日で拝めてしまいました。山頂の到着時刻は多少押したものの、結果的には事前の計画通りの時間で戻ってくることができました。まだまだ体力自慢で居られそうで満足です。

どうなることかと構えていた厳冬期黒戸尾根。あとから知るところによると南アルプスは1,2月の厳冬期よりも3-5月にかけてが雪が多くかつ気温が上がるため難易度が上がるそうです。雪が少なめで当日の風が穏やかだったということで、非常にコンディションに恵まれたので運が良かったです。

ちょうど来週あたりから太平洋側に大雪をもたらす南岸低気圧がやってくるので、次の週末以降ではまた状況が大きく変わると思われます。厳冬期にチャレンジする方は情報収集を怠らず注意して臨んでください。