山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【雪山はいいぞ】雪山登山を始めて5年、一通りの装備を揃えたのでまとめてみる。

雪山装備はケチるべからず

気づけば雪山を始めて5年が経っていて、何度かの装備アップデートを経てようやく装備が一通り形になったので雪山装備の紹介や、かかった費用の話なんかをまとめておきたいと思います。

最初に伝えておきたいこと

雪山装備だけは最初から良いものを買っておくべきです。後述するように最初は他のもので代用したり安いものを買っても最終的には無駄になる可能性が高いと思います。ちゃんと厳冬期対応の装備であればブランドはなんでも良いと思いますが、少なくとも靴やハードシェル、アンダーウェアなどは雪山使用が想定されたものを買うべきだと思います。私が行くような雪山は初心者向けの場所が多いので、レインウェア+軽アイゼンで十分な場所も多いですが、毎シーズン登るくらいちゃんと雪山をやるならば正しい装備を揃えた方が良いと思います。

かくいう私も最初の頃はレインウェアをシェルにしたり3シーズン靴で雪山に登っていましたが、なにかトラブルがあった場合の安全マージンが一切ないので振り返ると危なかったなと思うことも少なくないです。実際晴れっぱなしで無事に下山した時でもやはり3シーズン靴で登っていた場合は足先に浸水していることが多かったので、予定より行程が伸びたりホワイトアウトを凌ぐ状況になったらと思うと恐ろしいです。実際仲間と雪山に行くときも、私はまったく濡れず冷えずの時でも他のメンバーの足元は浸水していてガクガク震えていることもしばしばありました。

あとは準備の問題です。何事も準備不足が原因で失敗したり怪我をした時には自業自得の目で見られてしまいます。初心者向けの山を選んでも無積雪期に比べて天候の急変や行動困難になるなどのリスクが大きいのが雪山登山なので、十分な装備を持たずに挑むのは富士山登山に半袖半ズボンとスニーカーで挑む人と同じように見られかねません。やるだけのことはやっているぞと示すためにもキチンとした装備を揃えるべきなのかなと思います。

個人的にはいかにコストを掛けず工夫して楽しむか、を考えるのはそれ自体が非常に楽しいことなのでバランスが難しいですが、やはり多くの登山者が「夏山装備はなんでもいいけど雪山だけは」と言いますし、私自身もそうだと思っています。

もちろんコンディションの良い日に初心者向けの雪山に経験者に案内してもらいながら、とりあえずレインウェアと軽アイゼンで登ってみる、くらいのことは全然問題ないと思います。まずは楽しさを知るのが大事なので。

私の雪山レベル

厳冬期の赤岳くらいが上限と考えていて、厳冬期は基本的に山中に泊まることはせず日帰り限定です。北アルプスなんかはもってのほか(例外あり)。けれど安全マージンを確保するため、スペック上は厳冬期アルプスにも挑めるくらいの装備を以てして安全第一で登ろう、というスタンスです。

最新の装備。12月の縞枯山山行にて。

足回り編

登山靴:モンベル アルパインクルーザー3000

モンベルが誇る登山靴のフラグシップです。数年前に細君にプレゼントしてもらいました。保温材入り前後コバ付きビブラムソールの完全厳冬期仕様。以前のモデルではリコールがあったようですが現行モデルでは問題ありません。54700円という価格は海外メーカーの厳冬期シューズからすると破格といえるくらいですが性能については超一流です。

モンベラーの私でもSCARPAのモンブランに憧れがあったのでいっとき浮気を試みましたが、やはり足に合わずモンベルに命を預けることにしました。日本人の幅広な足に合わせて作られているので、海外メーカーの細身の足型が合わない人は是非モンベルを試してみてください。

アイゼン:カジタックスLFX-12

アイゼンは厳冬期仕様のワンタッチタイプの12本爪、同じくモンベルのカジタックスアイゼンです。カジタックスは以前は独立したメーカーでしたが創始者の高齢化により現在はモンベルが継承しています。以前の名前を残しているのが素敵です。靴とアイゼンは微妙に相性の善し悪しがあるそうなので素直にモンベル同士で揃えました。凶悪なくらい強靭な刃、特に前爪が堅牢なのでつま先接地で登らざるを得ない場面でも信頼できます。

ワンタッチかセミワンタッチか

12本爪アイゼンには前後のコバが必要なワンタッチ、後ろコバのみを使うセミワンタッチ、前後コバ不要の3つのタイプがあります。ワンタッチは前の金属フレームを引っ掛けて後ろのアタッチメントを後コバに押し付けるようにして固定したあとは軽アイゼンと同じように紐を回して固定します。

アルパインクルーザー3000は前後コバ付きの厳冬期専用靴なので私はワンタッチにしましたが、使ってみて言うほどワンタッチではないなというのが感想です。着脱の手間は非ワンタッチタイプとさほど変わらないというのが正直な印象です。実際主流は後ろコバのみ使用するセミワンタッチタイプで、夏季縦走用の靴にも使えるようにするパターンが多いようです。

ただしワンタッチ式は緩みにくさに関しては利があると思っていて、前後コバがある靴を持っているならワンタッチが良いのではないかと思います。あと個人的には夏靴にも装着できる必要は無いかなと思います。夏の大雪渓とかにここまでのスペックは要りませんし、保険で持っておくには重いので軽アイゼンは軽アイゼンであった方が良いです。アイゼンにおいては大は小を兼ねません。

ゲイター:Outdoor Research クロックゲイター

2月の谷川岳に行く前、雪山遭難から生還した経験を持つ仲間のTKから絶対あった方がいいと言われたので、正直必要か?と思いながらも買ってみたのがゲイターです。ゲイターには隙間から雪が入るのを防ぐ、防寒、そしてアイゼンの刃からパンツを保護するという役割があります。初雪山の際に足運びが下手でウェアの内側を引っ掻いて破ってしまったことがあったので、なるべく丈夫な生地のものが良いと考えこちらをチョイスしました。

11000円とゲイターの中では高価なものの、膝下くらいまでしっかり覆ってくれる長さなのと、下1/3くらいで強靭な生地に切り替わっていて、ちょっと引っ掛けたくらいなら破れなさそうだったことが決め手でした。また前面のマジックテープを剥がすと完全に”開く”ことができるので、靴下のように履くのではなく巻きつけて留めるようにして装着できて脱着のストレスが少ないことも良いところです。

足回りを装着したところ。写真ではゲイターのマジックテープが剥がれかけているように見えますが、このくらいでは外れず雪が入ってくることもありません。膝の真下くらいまで覆われているのでかなり深いところに踏み込んでも雪が侵入しづらいです。

ウェア編

シェル:THE NORTH FACE マウンテンライトジャケット

防風、防水担当のシェル。元々は軽いアウトドア〜街着として細君に買ってもらったものです。ベージュやカーキ色などより普段着っぽく使いやすいカラバリもあり、しょっちゅう着ている人を見かけるので街着のイメージが強いものの、GORE-TEXを採用しており防水・防風・透湿性は雪山でシェルとして十分に使えるスペックです。シェルなのでダウンジャケットと異なりこれ単品で暖かくはなりませんが、適切なベース・ミドルレイヤーと組み合わせるとマイナス10℃以下で突風を浴びても問題なく行動できるようになります。今では街着として着ることはなくなり、雪山登山とウィンタースポーツの時専用になりました。両サイドのポケットのジッパーが操作しづらいのでドローコードを取り付けています。

ちなみに上位モデルのマウンテンジャケットは脇の部分が止水ジッパーで開放できるようになっていたり全面のボタン止めがなくなっていたりと完全に雪山登山用のハードシェルです。それら以外のシェルとしての基本性能は大きく変わらないようです。

ミドルレイヤー:モンベル トレールアクションパーカ

保温担当のフリース。フリース最高傑作と名高きパタゴニアのR1が高くて買えなかったのでモンベルのフリースを選びました。伸縮性が非常に良く、保温性も高いので夏山なら停泊時のアウターとして十分なくらいです。フードを一番上まで上げると鼻くらいまで覆われ、バラクラバのように使える、というのが一つのウリになっています。かなり汗をかいた後でもそんなに濡れてなかったりするので乾きやすさも利点の一つ。デザイン的にもモンベルの主張が控えめでキャンプや普段着としても使いやすいです。

コスパが良い代わりに嵩張るかなというのが気になるところです。そして個人的には中間着にフードは要らないと思ったのでジャケットにしておけば良かったと思っています。

ベースレイヤー:ミレー ドライナミックメッシュ モンベル ジオラインExp.

雪山装備の要となる最内層のベースレイヤーは2種類を着ています。

変態アミアミことドライナミックは、最初に着てきた仲間をえらく笑った覚えがありますが、のちに雪山装備をちゃんと揃えようと調べていくと必須装備として紹介されることもある定番品でした。

肌の汗を即吸い上げて上のレイヤーに移す=肌が濡れている時間を極力短くする

生地の厚みによる空気の保温層を作り出す

という理屈に感心したので導入してみたところあまりに劇的な効果だったので気付けばノースリーブタイプと長袖タイプの2種を買っていました。ノースリーブを仕込んで稜線で風を受けた時、胴体と四肢の冷え方が明らかに異なるくらい、肌をドライにしてくれているのを強く実感した次第です。マスコミもびっくりな掌返しで今では勧める側に回りました。

2月の雲竜渓谷にて。ドライナミックメッシュがあれば寒くない!宣伝に使っていただきたい。

その上のベースレイヤーは紆余曲折あり今はジオラインExp.に一旦落ち着いています。対抗馬のメリノウールはとても暖かい一方で

ジオラインに比べると乾きづらく

発熱してくれる分微妙に暑い

停滞時にアウターをちゃんと脱がないといい感じに換気されない

と痒い所に手が届かない感じがあるので私はジオラインの方が使いやすいと思っています。しかしさすがに厳冬期八ヶ岳レベルだとM.W.では寒いのでExp.を導入してみて現時点では厳冬期の運動ではこれが最適解と考えています。

メリノウールExp.は非常に温かいものの激しい運動を伴う場合には暑すぎるという声がネット上でも実店舗でもよく聞かれるところです。逆に言うと真冬の星景撮影とかご来光待ちとか、極寒の中であまり動かない時には最適なウェアだと思います。

1着4000円以上するアンダーウェアなんて、と思っていた時期が私にもありました。気付けばジオラインM.W. , ジオラインL.W.サイクルアンダーシャツ、ジオラインExp. ,スーパーメリノウールM.W. ,ドライナミックメッシュノースリーブ&長袖、とめちゃくちゃに増殖していました。これらはより薄着で汗冷え対策が重要なロードバイクでも良い仕事をしてくれるので用途2つで実質半額です。

アルパインパンツ:THE NORTH FACE オールマウンテンパンツ

雪山のアウターは割と最近までレインウェア(モンベル サンダーパス上下)を使っていたのですが冒頭で述べた通り毎シーズン欠かさず雪山に行くので、そろそろちゃんとしたアルパインパンツを買おうと決意しました。

そんな時たまたまヨドバシオンラインでセールになっていたのがオールマウンテンパンツでした。22000円くらい。大好きなTHE NORTH FACEだし、上下で揃えられる(重要)のでチョイス。そんなTHE NORTH FACEはブランド名的にも本来はゴリゴリの登山スペックのウェアも多いはずなのに、登山ユーザーによるレビューが少なくファッションアイテムとして扱われがちです。

このオールマウンテンパンツも登山家からのレビューが少ないのは例外ではなく、雪山装備に相応しいのか調べただけではよく分かりませんでした。ヨドバシカメラ甲府店で試着して、画全体的な作りを見て、さらにめちゃくちゃスクワットしたりラッセルの動きをしたりしてみた結果、少なくともレインウェアよりはずっと厳冬期登山に向いていそうでした。

サイドの止水ジップは股関節辺りで止まっているためフルオープンにはならず、装着の際には”履く”動作が必要なのですが、フルオープンに近いくらいガバっと開くので履くストレスは少ないです。ジッパーは上下に付いているためベンチレーターとしてちょっとだけ開けるのもスムースです。複数回の雪山登山と2日間スキーウェアとして使いましたが性能的には全く問題ありませんでした。

パンツ:THE NORTH FACE アルパインライトパンツ

これまたTHE NORTH FACE、今度は登山用としての評判も多くあるアルパインライトパンツです。伸縮性が非常に良いのと立体裁断による動きやすさでハードな山行でもストレスにならないのに細身できれいなシルエットになるので登山用としてもアウトドアファッションとしても非常に高評価を集めている逸品です。

私の知るある登山家はずっとこれを履いていて3着目になるとか。あと多少の防水性もあります。夏山ではタイツとこれ、冬山ではその上にシェルに当たるパンツを履くので登山の時には必ず履いています。1年半ほど、時には普段着としても使っていますがへたる気配はまだまだありません。ダメになったら間違いなく同じものを買うと思います。

剣岳登山にて。抜群の動きやすさで難所カニのタテバイもなんのその。けれどピタッとフィットしていてシルエットも美しい。普段着にしちゃうのも納得。

アンダータイツ:モンベル トレールタイツ/ワークマン メリノウールタイツ

高校時代、陸上をやっていた時にタイツを履いていた方が気持ち良く走ることができた経験から、登山も必ずタイツを履くようにしています。効果があるのかは正直わかりませんが、タイツを履くことが山に行くぞと気を引き締める一種の儀式のようなものにもなっていて、冬山でも同様にしています。

私は下半身は寒さを感じづらいので、厳冬期でもただのタイツ、アルパインライトパンツ、シェル、の3枚で大体どこへでも行けてしまうのですが、雪山のグループ山行で止まる時間が長くなるとさすがに寒さを感じることがあったので、最近勢いに乗っているワークマンの1980円という格安のメリノウールタイツを試してみました。ただのタイツに比べるとさすがに保温性が段違いでした。

ソックス:モンベル メリノウール エクスペディションソックス

なんとコスパのモンベルでさえ3000円もする極厚生地の厳冬期用ソックス。下半身が寒さに強いといっても末端の冷えは一度起こるとリカバリー不能なのでグローブと同じくケチってはいけない、ということで一番高いやつを購入しました。アルパインクルーザーの保温材との合わせ技一本で、山頂で留まっていよいよ寒さの限界を感じるくらいになっても足先だけは無事でいられます。逆にあんなエクストリーム環境にたった3000円でより長く滞在できるならプライスレス。

バラクラバ:モンベル スーパーメリノウールバラクラバ Exp.

長らくネックウォーマー派でしたが2月の木曽駒ヶ岳稜線で鼻の冷え、ニット帽とネックウォーマーの隙間の寒さを大いに感じることになり、ボンバーマンことバラクラバを導入することになりました。まず1500円くらいのジオラインL.W.バラクラバを買って、雪山登山と意外にもロードバイクでも使い勝手が非常に良かったため、すぐにメリノウールExp.も追加購入しました。大半はネックウォーマーのように使っていますが、ネックウォーマーとの違いは鼻を元々覆うようにできていることで、特にこのバラクラバは鼻のところの針金でフィット感を高めることができて、ネックウォーマーとして使っていても鼻を覆った状態からズレにくいのが特徴です

バラクラバは最近の中では一番良かった買い物で、もっと早くから導入しておけば雪山登山はもちろん、厳冬期のロードバイクももう少し乗る気になったかなと思うアイテムです。

ニット帽:モンベル ケーブルニット ワッチキャップ#1

スノボ用に使っていたBurtonのニット帽がヘタってきたのでバラクラバを買いに行ったついでにモンベルのものを購入しました。ウールが縫い込まれていて温かい。バクラバ単品では寒いので、ニット帽は必須。

アイウェア:モンベル L.W.アルパインゴーグルHD

雪山は夏以上にアイウェアが必須です。ずっとサングラスやロードバイクのアイウェアで代用していてあまり困ってはいなかったものの、ガチ感を出すべく導入しました。冒頭で述べた通り夏山以上に「ちゃんと雪山装備を揃えて山に入っているか」が重要になってきます。見栄やらマウントという意味でなく、安全マージンに関わってくるので山の関係者は登山者の装備に目を光らせています。例えば隙間が多いサングラスでは吹雪になった時や爆風の環境において視野が確保できなくなる可能性があるし、そもそもふっ飛ばされるリスクもあるからです。

とはいえ私の場合肉眼で景色が見たいので不極力付けず、必要になるのはカンカン照りの時のサングラスの用途&曇りの時に地面の状況が分かりづらい時くらいです。後者は登山というよりはスキー・スノボの時に必要になります。

L.W.の名に恥じることなくたった80gと超軽量かつ6800円と安価なので一応持っておくのにはベストだと思います。毎年雪山シーズンになると売り切れるので早めに買うことを勧めます。

フル装備の図。1月の黒斑山にて。一切の肌を出さない完全防護。

レイヤリングまとめ

まとめるとウェアのレイヤリングは内側から上下とも4枚です。

【上半身】

①ドライナミックメッシュ 

②ジオラインExp. 

③トレールアクションパーカ 

④アルパインライトジャケット

【下半身】

①トレールタイツ 

②メリノウールタイツ(時により))

③アルパインライトパンツ

④オールマウンテンパンツ

これで行動中〜ちょっとした停滞時まではジッパーを下ろすくらいのベンチレーションで対応できて、長時間の停滞時には上か中にパッカブルのダウンジャケットやフリースを着て対応します。

小物編

グローブ:ブラックダイヤモンド ソロイスト、防寒テムレス 02winter、モンベル メリノウールグローブ

雪山登山のグローブもウェアと同じくレイヤリングの考え方が有用で、インナーと防風防水のアウターの2層構造に加えてベースレイヤーがあったりなかったりします。

先にも述べた通り末端は一度冷え切ると回復不能な場合が多いので、基本的には雪山の中で素手になってはいけないそうです。私はソロイストをメインに使っていますが暑くなってきたら薄手のメリノウールグローブに交代します。調理など手先の動作が必要な時にも同じくメリノウールグローブで行うようにしています。ソロイストは雪山登山のグローブとして超定番品で、5本指タイプとミトン型があります。一般的に保温に優れるのはミトン型で、操作性を求めるなら5本指。とはいえこの5本指でも十分に暖かく、マイナス15℃の中で爆風を浴びた2月の木曽駒ヶ岳でも指先が冷えることはありませんでした。

ソロイストはモコモコのインナーと防風防水のアウターの二重構造。手首のところでマジックテープで固定されているため着脱は容易で、乾かすときにも便利です。

こちらが行動中および素手になりたいシーンで使うメリノウールグローブです。1500円也。海外アウトドアブランドでは同じようなもので4000円とかしますし、頼りのワークマンでも売り切れなのか見当たらず、このどこにでもありそうな「ウールで薄手の気軽な値段の手袋」は意外と少なくて、やはりモンベルの出番です。薄手の生地なので外して腰ポケットにしまうのも容易なのに、生地の厚みから想像するより遥かに暖かくて程良い通気性があります。雪山の行動中はほとんどこれを着けています。

そして最後は一時期Twitterで話題になった防寒テムレスのウィンターシーズン用02winterです。通常モデルよりちょっと高い(それでも4000円くらい)モデルで、通常モデルとの違いは手首が絞れるようになっていることで、冬の防寒具としては必須の機能です。内側は黄色のフリース様の起毛素材で、値段と見た目からは不思議に思うほど手を入れるとすぐに温かいです。そして謎に優れた透湿性があるので蒸れてもビショビショにまではなりません。そして防風性もかなり優れているというコスパに優れた手袋です。

とはいえさすがに厳冬期登山用としては活躍の場はある程度限定されて、先の木曽駒ヶ岳のような環境では完全に力不足です。以前1月の天狗岳にテムレス単独で登った時も後悔しました。ただしその際はあと一歩という感じだったのでベースレイヤーを組み合わせれば使えたと思います。基本的には積雪期の低山ハイクとか、いわゆるスノーハイクとか、初冬や残雪期くらいにちょうど良いと思います。厳冬期登山では保険として忍ばせています。

ちなみに冬のロードバイクのアウターグローブとしてはかなり優秀です。

ピッケル:GRIVEL NEPAL S.A.

これは完全に見た目で選びました。ピッケルってどうやって選べばいいの〜なんて考えることもなく、完全に見た目一発です。2月の谷川岳に行くに当たり、遭難からの生還歴のあるTKからゲイターとともに「ピッケルとは侍の刀である」と必須の装備だと教わって購入しました。一般的に曲がりが強いほど、短いほど氷壁登攀みたいなテクニカルユース、ストレートで長いほどストックのように使うように想定されています。

昔は長いものが主流だったのが、今はストックを使うことが増えたためピッケルを杖代わりにするシーンが減りストレートタイプでも短いものがメインになっています。

このタイプのピッケルの役割は滑落防止および滑落時の停止です。滑り始めたら速度が付く前に素早くピッケルの刃を突き刺し速やかに停止することが重要です。

私の刀。男の子が好きなカラーリング過ぎる。

温度計:エンペックス サーモマックス

雪山の山行中はいつも首からかけている温度計です。個人的に気温とか風速、高度みたいな数字が結構好きなのと、山行中の気温が分かると天気予報で数字を見た時にある程度コンディションの予想ができるようになり、レイヤリングの調整の精度が増すので、マイナス何度、というのを体感で覚えるために使っています。

雪山登山中はスマホやapple watchが使い物にならないことも多いので結局確実で早いのはアナログ、と考えてこれを愛用しています。服の中に入れておくと当然気温が狂うので、シェルの外、外界にむき出しでかけるようにしています。個人的には温度計を持つのは楽しさアップのためにおすすめです。

レインウェアと軽アイゼンで唐松岳に登った、今思えば恐ろしいことをしていた雪山デビュー当初から随分と装備が進化しました。一気に揃えず実際に山の中で必要になってから買ったり逆に手放したりしたものもあって、自分なりにはだいぶブラッシュアップされたと思います。あとは壊れない限りは手持ちの装備でどこへでも行ける状態です。

ということで最後にこれまであまり考えてこなかった(考えないようにしていた)、装備品一覧表を作って総額を出してみました。

装備の総額

 

251,900円。まあ消耗品の類はほぼなくて手入れをすれば長く使っていけるものですし、この道具たちで得られる唯一無二の体験、絶対に他では見られない世界があるのでプライスレス。

ロードバイク1台分以下でこんな素晴らしい装備が揃えられるし、一度揃えたらあとは交通費くらいしかかからないし雪山って良い趣味だよね!

 

ということで雪山装備のまとめでした。