山と自転車

登山や自転車に関することを綴っています

【甲府盆地一周】ロードバイクでボンイチしてみた2022.11【広域農道〜フルーツライン〜ウェスタンライン】

魅力たっぷりな甲府盆地一周-ボンイチ-

学生時代と合わせてもう8年目になる山梨生活です。登山目的に移住しましたが実は甲府盆地は人気の富士山周辺、富士五湖エリアに負けじ劣らずなツーリングスポットが多くあります

東京神奈川に住んでいた頃のような、50kmも走れば景色が全く変わる、というライドは難しいものの、自宅から30分足らずの場所にクライマーを唸らせる激坂があったり、フルーツラインを代表とする爽快なツーリング路があったりと、甲府盆地はローディにとっても楽しい環境です。そんな甲府盆地の魅力が詰まった甲府一周ライド、通称ボンイチ(造語)をやってみたのでその記録です。職場のアスリート系上司に勧められたことで知ったチャレンジです。先日の腸脛靭帯炎に対するカント調整の効果判定も兼ねていざライド!

www.mount-road.com

走行データ

スタート地点はみたまの湯

スタート地点は甲府盆地南側の「みはらしの丘 みたまの湯」です。

山梨の有名な温泉といえばゆるキャンでもお馴染みほったらかし温泉ですが、みたまの湯は日本の夜景100選にも選ばれた、南アルプスと八ヶ岳、甲府盆地を一望できる温泉で個人的にはサウナもあるし施設の綺麗さも含めて圧倒的にみたまの湯推しです。ボンイチ終了後は夕焼けを見ながらサウナでととのって締めくくりたいと思います。

みたまの湯駐車場より1枚。時刻は10時30分。ボンイチは約120kmで獲得標高1650mほどの道のりです。ロングライド時は概ね25km/hのペースになるので、登りの負荷も含めて5時間半くらいと予想します。

まずは国道29号、広域農道〜みやさか道を進む

ルートは盆地をぐるりと囲い込むように走る道路、南部は広域農道、東部〜北部はフルーツライン、西部はウェスタンラインを繋いで走ります。最も平坦なのが北部〜西部にかけて、逆にアップダウンが激しいのが南部〜北部の広域農道からフルーツラインの辺りです。みたまの湯スタートで反時計回りにすると辛いエリアを前半戦に持ってくることができます。

みたまの湯からいきなりダウンヒルで始まります。まずは御坂方面を目指し、御坂方面に進むと精進湖につながる358号線と交差しますが、そのまま直進します。

特に迷うような分岐もなく道なりに進み、笛吹市に入ると広域農道からみやさか道に合流します。このみやさか道は道幅が広く見通しも良い、そして交通量も多くないというローディ的には理想的な道です。フルーツラインに至るまでの総獲得標高は500m強くらいなのでそれほどきついわけではないですが、アップダウンが多めです。

八代ふるさと公園 「逃げ恥」でガッキーが訪れた

時計でいうと6時から3時にかけて、左手に盆地を見ながらひたすら進むと八代ふるさと公園が現れます。みたまの湯と同じく甲府盆地と南アルプスおよび八ヶ岳を一望できる広大な敷地の公園です。敷地内に復元された2つの古墳があって桜の木が多数植えられています。

休日は家族連れはもちろん、楽器を吹いたり歌を歌ったりする人がいたりして皆が思い思いの時間を過ごしている憩いの公園です。そしてドラマの逃げ恥の撮影地にもなったところで、3話目くらいに登場しています。正面の丘の上はたいへんに眺めが良いです。

みさかフルーツ街道を経て勝沼へ

広域農道を走り切ると、富士吉田方面に進む御坂道との交差点に当たり、これを真っ直ぐ勝沼方面へと進みます。さらに大通りを道なりに進んでいくと国道20号に合流し、原という交差点から勝沼〜フルーツラインエリアに入っていきます。

勝沼は時計でいうと3時の辺りに相当します。ぶどう畑と南アルプスの山脈。

勝沼ぶどう郷駅

西洋建築風で洒落た外観をしている勝沼ぶどう郷駅です。

景観の良い快走路、フルーツライン

この勝沼から甲府方面に向かうフルーツラインは左手に盆地と富士山を眺めながら走ることが出来る快走路で、CYCLE SPORTSの日本の道100選にも紹介されていたくらい有名なツーリングルートです。自転車よりはオートバイがとても多い道で、飛ばす人が多いので注意が必要です。

ここから先は道なりに進み過ぎるとどんどん山の中を登っていってしまうので、塩山方面に進みつつ恵林寺を目安にフルーツ公園方面に方向を切り替える必要があります。この辺りの道には明るくないのでガーミンコネクトにおまかせしたところ、Google Mapばりの小道をたくさん走らされてしまったので事前にルートを引いておくことをおすすめします。

恵林寺より少し北まで走ってフルーツ公園を目指します。この辺りで標高はかなり稼いでいるので、国道140号を南下しながら再度フルーツラインに合流し、フルーツ公園に下っていく形になります。

笛吹川フルーツ公園

もともと有名ながらゆるキャンでさらに知名度を上げたフルーツ公園です。道沿いに農家の即売所がひしめき合っており、登っていけば有名なほったらかし温泉もあって、東京方面からのアクセスも良いので週末になるとほとんどが県外ナンバーの車になります。

ボンイチとしてはフルーツ公園まで来ると獲得標高1050/1650mであったので全体の2/3ほど登りを終えたことになります。ここからはしばらく平地が続きます。

フルーツ公園から甲府方面に向かうフルーツラインはほぼダウンヒルで、ボンイチの中でも一番といえるかもしれない超快走路です。今までの道と比べると見通しは良いですが交通量が少し増えてくる上、みんなそれなりに飛ばしているので十分気をつける必要があります。また周囲の果樹園から細い道が合流してくるため、横から出てきた車や人との接触事故が多いエリアです。

フルーツラインから盆地と富士山を眺めます。手前に山があるため実は甲府盆地側からは富士山は上の方しか見えないので東京神奈川方面からの方がよく見えたりします。ほったらかし温泉はこの道よりは標高が高いためもう少し下の方まで見えますが、それでも富士山のド迫力は乏しくなってしまうので、やはり個人的にはみたまの湯の大地を感じる眺めの方が好きです。

鎮目交差点から国道6号、山の手通りへ

フルーツラインを下り切ると石和の鎮目(しずめ)というT字路に降りて、一旦盆地の底に合流します。ここから国道6号線、雁坂みちを道なりに進んで甲府中心部を抜け、韮崎方面まで進んでいきます。6号線は甲府中心地を抜けると山の手通りという名前に変わります。

ここは基本的には平坦な道ですが市街地で交通量が増えてくるためここまでの道のりからすると走りづらくなってきます。ちなみにこの雁坂みちと国道140号線の交差点のすぐ右手には山梨県にスポーツサイクルを普及させるのに大いに貢献したTREK甲府があります。3年前くらいに出来たばかりですが、山梨県内のクロスバイクやロードバイクのTREK率が非常に高いのはここの仕業です。

甲府を抜けて竜王を過ぎ、さらに韮崎近くになると若干のアップダウンが出始めてきます。あとから調べると中央道双葉JCT付近で、6号線から穂坂道という道を北上していくと韮崎の丘陵地を走れるらしいですが、今回は道なりに進んで20号に合流しています。

韮崎からウエスタンラインへ

韮崎市役所の辺りで国道20号に合流して道なりに、少し北上して南アルプス鳳凰三山の看板が出てくる桐沢橋を渡ります。ここでボンイチの北端からの折返しで、最後の西部ウエスタンラインに繋がります。

桐沢橋から。ちょうど真南の方角に富士山が見えています。前半戦で走っていた広域農道はここから見る富士山の手前の山々に相当します。スタートからちょうど盆地の正反対側に来たことになります。

南アルプスの麓道

進行方向には南アルプス、鳳凰三山です。つい3週間ほど前にテント泊したところですがそのすぐ後に降雪があったので山頂付近は遠目にも雪が残っているのがわかりました。

いよいよ南下し始めます。進行方向には富士山。

振り返れば八ヶ岳。学生の頃はまだ都内に住んでいた頃の感覚が残っていて、甲府盆地でロードバイクに乗っても全然景色が変わらないと嘆いていました。今思えば楽しもうとする気持ちが足りなかったんだと思います。今でもロードバイクは第一に移動手段だと考えていますが、景色の良いところであればライド自体を楽しめるようになったので、ようやくこの地の魅力に気づくことができました。こんなにも魅力あふれる楽しいところに住んでいて、もったいなかったと思います。

走りやすいウエスタンライン

残りは甲府盆地西部、ウェスタンラインをひたすらに南下していきます。この道はフルーツラインや広域農道ほど標高が高くないので高台から甲府盆地を一望、という感じではないものの、とにかく走りやすいです。

アップダウンはこれまでに比べると非常にマイルドで、道幅が広く交通量も少ないので一番走りやすいかもしれません。ちなみにこの道よりも山の方向に入っていくと北岳の登山口広河原であったり甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳の北沢峠へアクセスすることができます。

激坂ヒルクライムや紅葉スポットとして知る人ぞ知る伊奈ヶ湖はこのウエスタンラインから入っていくことができます。今日は登りお腹いっぱいなので想像すらしたくありませんが。

ここから先は走り慣れている道なのと疲労とで写真を撮っていませんでしたが、ウエスタンラインを南下して桜の名所の大法師公園入口を通過したあとは身延・静岡に続く国道52号に合流します。合流後はまもなく現れる富士川大橋を渡り、大通りを道なりに進むと広域農道との分岐に繋がるので、みたまの湯方面へ最後のヒルクライムです。この時点で残り200mほどの登りで、斜度は5%くらいなので温泉を糧に最後の力でペダルを回します。

走行時間5時間半でゴール

そして時刻は16時。ほぼ予想通りの約5時間半で完走することができました。日没1時間前ということもあり駐車場は満車で、サウナ渋滞が起こるほど中も混み合っていました。露天風呂からもこの写真の景色が眺められます。露天風呂に浸かって盆地を一望しながら、この縁を全て走ったんだなぁとしみじみ。

ボンイチを走ってみて

・思ったよりも登りが脚にくる。
・景色の良さはピカイチ。
・甲府市街地ゾーンを除けば全体的に信号が少なく非常に走りやすい。
・どの地点でもリタイヤしやすいため挑戦しやすい。

走り慣れた甲府-松本の100km、1100mアップよりも+500m登るので、思ったよりも脚を使ってしまいました。前半の広域農道からフルーツラインまでが勝負という感じです。そのため例えばフルーツ公園スタートの周回にしてここを最後に残してしまうとメンタル的にかなりしんどい気がします。今回反時計回りにしたのは常に道路の谷側を走るためでしたが、これは正解でした。湖一周のイメージです。

路面状況および交通環境は非常に良くて、甲府市街地を抜ける一部を除けば信号待ちの記憶があまりないくらい、常に走り続けられるロングライドでした。距離的にも1日で終わるので遠方から来て日帰りチャレンジもできるし、盆地に住む人ならば思い立ったらすぐに実行できるのが強みです。

全線を通して電波も通っているし、コンビニや自販機も基本的にあまり途切れず存在しているので補給にもそれほど困りません。どの地点からでも概ね1時間も走ればどこからしらの市街地に出られるのでリタイヤもしやすいです。

ボンイチしないとしても、今回走った広域農道やフルーツラインは単品でも十分楽しめる道です。私は夏場に定時で仕事を終えたときには日没までの2時間ほどのトレーニングで日常的に走っていましたが何度走っても良い道です。

遠方からツーリング目的に訪れるくらいの快走路続きのボンイチ。みたまの湯も含めて万人におすすめします。特に甲府盆地人ローディはこのありがたみにぜひ気づいてください。