山と自転車

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【ミニベロ専門店】GREEN CYCLE STATION YOKOHAMAで試乗しまくってきた話

GREEN CYCLE STATION YOKOHAMA

横浜みなとみらい地区にあるミニベロ専門店「GREEN CYCLE STATION YOKOHAMA」はミニベロ雑誌では必ずと行って良いほど紹介されている、ブロンプトンやBD-1はもちろん、TyrellやTarutaruga、キャリーミーなど様々な小径車を取り扱う有名店です。

2年前にこちらでブロンプトンを購入し、私の両親もこちらでブロンプトンを購入しました。先日のしまなみ海道ツーリングにて、私のフロントチェーンリング44Tをお気に召した両親が自分たちも交換したいというので久々に訪れました。

お店の場所・アクセス

お店は横浜みなとみらいエリアの山下公園、横浜中華街の近くにあり、みなとみらい線の日本大通り駅と元町・中華街駅の中間に位置し徒歩で行く場合には日本大通り駅が最寄になります。JR桜木町駅からは自転車で10分ほどの距離で歩くにはやや遠いと思います。このエリアはLORO横浜やワールドポーターズ内のワイズロードなど、自転車ショップが複数存在します。冒頭の写真の通り、店先には大量のミニベロが並んでいるのですぐ分かります。

ミニベロの宝石箱な店内

店内には折りたたみ自転車をメインとしたミニベロが所狭しと並んでいます。ブロンプトン用の純正/サードパーティ製のバッグやカスタムパーツの類も豊富に扱っています。いつ行っても商談中の客や納車時の説明を受けている人がいるので相当売れているようです。

ちなみに納車の際は1時間ほど、みっちりと折りたたみ方や注意点などをレクチャーしてくれます。この日はBD-1を納車した人がレクチャーを受けながら畳み方の練習をしていました。チラチラ見ていましたがかなり複雑そうに見えました。

メンテナンスやカスタムに関しては予約制ではなく、時間によっては持ち込んでその日のうちに持って帰ることができます。とはいえ混雑することも多いので事前に連絡はした方が良さそうです。この日は17時までに持ってきてくれれば19時の閉店までには返せるとのことだったので作業中は店内で待つことにしました。

フリーダムな試乗スタイル

このお店は全ての自転車に試乗させてもらえることが特徴です。しかも私の知る限り最も気軽に。待ち時間の間色々乗ってみようと納車の時に説明を受けたスタッフの平田さんに声をかけました。

「すみません、試乗をしt」

「どうぞ。事故とかだけは自己責任になっちゃいますけど、好きに乗ってください」

以上。

店によっては一筆書いたり、その場で自転車保険の加入が必要になるところもあるというのに、相変わらずのフリーダムスタイルです。店先のミニベロは一部を除き鍵はかかっておらず、文字通り好き勝手に乗らせていただきました。

DAHON K-3

まずはDAHON K-3です。ブロンプトンより一回り小さく14インチ、変速は外装3段、完成車状態で7.8kgで約10万円のコストパフォーマンスに優れたイカした自転車です。当初両親はブロンプトンの価格にビビってこれを買おうとしていたらしいですが、ライダー体重80kg以下が推奨なので体重制限で諦めたそうです。

折り畳み機構はメインフレームが折れる一般的なタイプです。正直期待せず乗ってみたところ見た目を裏切る驚愕の走行性能でした。さすがにブロンプトンに比べ剛性感は落ちるもののまあよく進みます。ギア比も激坂には厳しそうですが平地メインならばちょうど良いところに収まっています。そして何よりめちゃくちゃに軽くて走行中も軽快さが際立ちました。ブロンプトンは唯一無二のコンパクト自転車ですが、それでも今だに重いと思い続けるくらいには重量級なので、これなら輪行のハードルがさらに下げられそうです。

iruka

続いて日本の誇る「モバイル自転車」という新しい概念のもとに生まれた近未来感漂うおしゃれバイクのirukaです。折りたたみ機構はブロンプトンに似ていますが、最大の特徴はメインフレームに空いたスリットに後輪が収まる斬新な機構です。これにより折りたたみ時の高さ35cmという驚異的なコンパクトさを実現しており、高さに限ればブロンプトンよりもコンパクトです。横から見て正方形になるブロンプトンに対し、irukaは長方形の縦長の形に折り畳まれます。

フレームはmacbookを思わせるアルマイト加工を施した美しいアルミ製で、フレームトップにはイルカをイメージした鼻が付いています。おまけにフロントは片側フォークというカッコ良い詰め込み過ぎ案件です。さらにさらに後輪はまるでエアロバイクのようなディスクホイール風で攻撃力高めな見た目です(これは走行性能のためでなく折りたたみ時に怪我をしないための装備です)。

現在は発売当初と変わってスポーツラインのiruka Sとコンフォートラインのiruka Cがラインナップされ変速はそれぞれ8速、5速。今回試乗したのはiruka Cですが、基本的な構造は同じでフレームが折れないことによる剛性の高さは十分に感じられ、ブロンプトンに比べるとかなりスポーツサイクル寄りの乗り心地でグングン進みます。

これだけ語ってしまうのはブロンプトンとirukaで迷っていたからでした。二者択一でブロンプトンを選びましたが、いつかirukaも迎えたいと思っています。

うどん県生まれのTyrell

続いてはうどん県、香川県さぬき市で生まれたブランドTyrell(タイレル)です。Tyrellはミニベロをメインに展開する自転車メーカーで、フレームの素材からデザイン、塗装、など全ての行程を徹底的に拘っているという洗練されたデザインと優れた走行性能を売りにするメーカーです。最近はロードバイクも作っています。

以前からたまに見かけることがありましたが、走行性能の高さが高評価されていて、自転車雑誌でもよく目にしていたのでこの機に試乗しました。結果としては今回乗ったミニベロの中で最もロードバイクに近い走行感でした。まず他のミニベロと圧倒的に異なっていたのがフレームの剛性感。漕いだ瞬間、ミニベロらしからぬ硬さを感じ、踏み込んだ力が全て推進力になる感覚がありました。

以前乗っていた「踏んだ瞬間に進むカチカチのアルミロード」を思い出しました。わずかな距離の試乗でもドロップハンドルならば100kmを超えるライドも難なくこなせるんじゃないかと思うポテンシャルを感じさせてくれました。欠点としてはコンパクトにはならなさそうなところです。

走るおにぎりSTRiDA

続いて三角形のフレームが特徴の変わり種自転車のSTRiDA(ストライダ)です。変速はないものの(海外モデルでは変速あり)、よく考えられたギア比で街乗り車として最適化されています。そういえばよく見るとこれも片側フォークです。

一般的な自転車と大きく異なるその形状からバランスを取るのが難しいと聞きましたが、極端に尻荷重にしなければ普通に乗ることができました。たしかに一般的な自転車の乗り心地とは全く異なって、安定する一輪車というか、腰を引いて足を前に出して漕ぐ形になるので不思議な感覚でした。そしてこの子も意外にもよく走ります。

リカンベント?Tarutaruga

ずっと気になっていたTarutaruga(タルタルーガ)は日本生まれの自転車です。今回乗ったのはリカンベントに近い乗車姿勢になる、背もたれ付きのこちらのバイクです。これは少し説明を聞きながら乗らせてもらいました。

まずは背もたれに腰を付け言われるがままに踏み込みます。踏み込んだ時に腰に感じる力が通常ペダリング時に逃げていく力で、この自転車はその力をペダルに伝えることができるそうです。完全に寝そべる状態ではないものの、普通の自転車と比べるとかなり後傾姿勢になるので視界がずいぶんと広いです。気分はアメリカンバイク。

肝心の走行性能はというとスピードに乗るのが早いこと早いこと。乗車姿勢が流線型に近づくので空気抵抗が少ないのを感じます。自転車の世界最速記録132.4km/hを叩き出した最速の自転車はリカンベントなので、そのエッセンスを感じることができるバイクでした。

ただしリカンベントは登りという大きな弱点があるので総合的にはロードバイクが覇権を握っています。このバイクも登坂には弱いという欠点があります。ただしスタッフの佐々木さんはこれで箱根峠を越えたと言っていました。(地獄だったらしい。そりゃそうでしょう)

他にも試乗できる自転車がたくさん

写真を取り忘れてしまいましたが他にbirdyとCarry Meにも乗りました。

写真:Green Cycle Station HP birdy standard 商品ページより

https://www.gcs-yokohama.com/entry/38348/

birdyはブロンプトンとよく比較され、より走行性能を高めたスポーツサイクルという位置付けの言わずと知れたバイクです。個人的には興味を持ったことはあまりないのですが、せっかくなので乗ってみるとやはり王道、とにかく漕いでいて気持ちの良いバイクでした。サスペンションがよく効いていて、ミニベロの弱点の段差を超える衝撃をかなり緩和してくれていたのが印象的でした。また乗車姿勢はだいぶ前傾を取るのでミニベロロードに乗っているような感覚で、これはロングライド向きだわと思いました。ロードバイクを持っておらずミニベロ1台だけを選べと言われるとかなり有力なバイクです。

写真:Green Cycle Station HP CARRY ME商品ページより

https://www.gcs-yokohama.com/entry/47055/

Carry Meはキックボードを思い出すほどの極小タイヤとおもちゃのようなファンシーな見た目、傘立てに入りそうな折りたたみスタイルで一度見たら忘れない系自転車です。

当然ロングライドやスポーツライドではなく街乗りに特化した自転車ですが、Carry Meで100km越えとかヒルクライムをする変態は世界中に居ます。

さすがに見た目通りに振動をダイレクトに受けるものの、想像するよりはよく走ります。何より小回りがめちゃくちゃに効くので人の多い都市部を走るのにはとても良さそうです。また縦長細長の折りたたみ機構でコンパクトなゴルフバッグくらいの大きさに収まるので、輪行で通勤するくらい日常的に輪行をするなら一番理に叶っていると思います。STRiDAと同様唯一無二系なのでファンが多いのも納得です。

まとめ

いずれも「好きに乗ってどうぞ」のフリーダムスタイルで、車両の入れ替え時も特に断りを入れる必要もなく、友達の家の自転車を借りるよりも低いハードルであらゆるミニベロに試乗することができます。これだけ好きに乗らせてもらえると予想もしなかった劇的な恋に落ちることもあると思います。経営戦略としても実は理にかなっているのではと思いました。来る度に売れている理由も納得です。私はirukaへの思いが再燃したのとK-3が欲しくなったのとSTRiDAかCarry Meをとりあえず持っておきたくなったのと大忙しでした。

ミニベロに興味があればここに来れば間違いないと思います。興味がなくても興味が出てくること請け合い。自転車好きなら一度は訪れてみてください。