山と自転車

登山とロードバイクにのめり込んでいる人

【初心者でも完走】2022.9 しまなみ海道 ブロンプトンツーリング①

【プロローグ】

父が10年来恋い焦がれた「いつか」欲しいブロンプトンを2台(父と母の分)、大人買いした。父が職場の同世代の同僚を突然亡くしたことがきっかけだった。その人は定年後の夢をよく語っていたそうで、「いつか」が訪れるとは限らないと大変ショックを受け、やりたいことは早くやらねばならぬと奮起したのである。

そんな父がよく口にしていたもう一つの「いつか」がしまなみ海道を自転車で走るということだった。思い返すとしまなみ海道は父から聞いて知ったのを思い出す。

 

そんな父への納車祝い、そしてハードルが高いと思っているしまなみ海道輪行旅も、単に自転車を持って尾道駅に行けば勝手に全てが始まる、何も難しいことなどないと身を持って知ってもらうべく、親子3人ブロンプトン旅を計画した。

 

※両親は運動習慣が全くなく、休日もアクティブに動き回るより家で怠惰を貪ることを良しとする類の一般的な中高年である。

この記事は、そんな初心者&低体力&高体重サイクリスト2人でもブロンプトンで2泊3日、しまなみ海道を満喫し走り切ることができたという希望の書でもある。

 

話は変わって「折りたたみ自転車はじめました(著:星井さえこ)」という本がある。

ブロンプトン乗りの著者がブロンプトンを購入してからのご近所サイクリングや輪行旅を綴るコミックエッセイで、とにかく絵がかわいい。旅先の紹介も丁寧で聖地として巡礼したくなるほどに強烈に刺激を受けた。(群馬の四万温泉はこの漫画を読んで旅行した)

最後にはしまなみ海道旅行が綴られていて、両親に勧めようとしたが既に読み込んでいたようで、今回の旅はかなり参考にさせていただいた。記事内で「漫画」と言うのはこの作品を指している。

初日は町田の自宅を5時に発ち、6:51新横浜発の新幹線で広島の福山駅まで移動し、そこから山陽本線に乗り換えて尾道駅に10:30頃到着するプラン。

今回初導入したこの輪行袋Twitterで有名なPEKOさんのお手製輪行袋。非常に軽量コンパクトでブロンプトンのフレーム内に収納できる超優れもの。

https://twitter.com/ab_peko?s=20&t=jRnbAfTpVK-xL1vbt5E6UQ

peraichi.com

新幹線はもちろん特大荷物スペースを予約。ブロンプトンなら3台あってもこの通り。5台は余裕で置けそうだった。上のテーブルに2泊3日の荷物が入ったフロントバッグx3を置いても余裕があり、改めてブロンプトンのコンパクトさに感動した。

新横浜→福山は3時間ほどで、そこから山陽本線で4駅移動し尾道駅に達する。このレトロな車両と車窓を流れる海沿いの町並みが旅情を掻き立てる。

10:34 JR尾道駅に到着。1年前は初めての尾道どころか初めての広島上陸だったのに、この1年で3回も来てしまった。しまなみ海道は憧れ続けて勝手にハードル高く感じていたが「しまなみ海道は新幹線にさえ乗れればあっけなく来られる」と知ってしまってからはタガが外れて、時間さえ取れればすぐ来るようになったから人生は本当にどうなるか分からない。

ブロンプトン3台でいざ出陣の図。3度目とはいえブロンプトンは初めてなのでワクワクが止まらない。

渡し船に乗って眺める坂の町、尾道の町並み。尾道は初めて来たその瞬間に大好きになった街で、人生嫌になったら仕事を辞めてとりあえず尾道に来ようと思っている。

10日前は3日間雨の最悪の予報で生きた心地がしなかったが、直前に奇跡的に3日間とも晴れ予報に変わった。この空と瀬戸内海の穏やかな水面を眺めるだけでもう全てが何でも良いやと思えてくる。

因島大橋を眺める。ここまで平均15km/hrくらいのポタリング。初心者2人もまだ元気である。

橋の前は平均3%の緩やかなスロープになっている。我々ローディからすると坂と認識しないレベルではあるが、ほぼフラットなしまなみ海道において唯一の注意点だと思うので忠告しておく。

私「橋は高台だから手前で必ず登りになるけど斜度はゆr」

父「大丈夫、全部押して歩くから(ドヤ」

因島は必ずブルーラインを離脱する。そう、自転車神社こと大山神社があるからである。毎回違う巫女さんだがやたらと親切なのは共通していて、写真を撮ってくれた。

しまなみジャージとろんぐらいだぁすコーナー。このジャージ両方とも気づいたら家に居た。

この神社、グラベルロードを貸し出して島内のグラベルライドを斡旋していて訳がわからない(褒め)。

大山神社からはまた5kmほど戻り、ブルーラインに復帰する。往復10km、寄り道する価値は十分です。

レモンの島、生口島まで来るとこれまでと雰囲気が少し変わってくる。これまでは港町だったのが、島の中に来たような感じ。ドルチェ瀬戸田本店で休息を取る。

母が走りきれるか心配していた父であったが、意外にも飄々とペダルを回す母を横目に、足を攣ってストップアンドゴーを繰り返していた。

9月中旬、気温は34度の猛暑の中なので私でも補給を間違えると危険な環境だが、嗜好の問題で真水ばかり飲んでいたので当然とも言える。

 

※脱水は絶対的な水分量よりもナトリウムを始めとした電解質異常が本体なので純粋な水のみの補給は改善に繋がりません。

ろんぐらいだぁすでもドルチェは休憩ポイントとして出てきた。サイン色紙は仲間とのしまなみ海道ツーリングに4日間かけて自走で尾道に現れる豪脚のロングライダー、高宮紗希嬢のサイン色紙。

生口島に来たら立ち寄るべきしおまち商店街。ブルーラインに沿いに出現するが、うっかりすると通り過ぎてしまうかもしれないので注意。

ここのコロッケは漫画にも登場し数々のしまなみ海道特集でも必ず現れる。芋の味がしっかり感じされるトロトロの中身はなぜか永遠に熱々である。

しおまち商店街を抜けると住之江旅館。ろんぐらいだぁすで宿泊地として登場しており、しまなみ海道ではかなり有名なよう。海を望める大浴場もあるという。

今回は多々羅大橋を初日クライマックスに持ってきたかった関係で大三島を宿泊地にしたのでここには泊まれなかったが、それはまたしまなみを訪れる理由になったので残念とは思わない。

想定より早く走れている(平均10km/h行けば上等と思っていたが、15km/h以上で走れていた)ので、瀬戸田サンセットビーチで休憩。

なんて絵になる自転車なのだろう。

「せとうちの海辺でチェアリングをする」というこの一瞬のためだけにバッグの容量の30%ほどを犠牲に持ってきたヘリノックスチェアワン。一人ならこれでビール飲んで3時間くらい過ごしちゃうええ本当に。

炎天下で走り続けた初心者ライダーがどんなにひいひい言っていても瀬戸内海はどこまでも美しく穏やか。人間はやかましいものだ。

S字カーブと海。しまなみ海道を走ると20分に1回くらいこんな景色が見られます。

いよいよ初日クライマックス、多々羅大橋

漫画にも出てきたレモンのオブジェ。生口島はよく見ると色んな所にこの子がいる。

多々羅大橋スロープ。「サーキットみたい」とはしゃぐ母の横に父はもう居ない。遂に両足を攣って行動不能になり置いていかれたのである。

スロープ内にどうやらイノシシくらいは出てくるらしい。

多々羅大橋の鳴き龍。向かい合った支柱間を音が反響し、まるで登っていくように聞こえる不思議スポット。今まではあまり感動もなかったのだが、今回はめちゃくちゃに楽しんだ。湿度とか天候が関係しているのか、あるいは平日夕方で人も車も少なかったからなのか、備え付けの木を叩くと奇妙奇天烈摩訶不思議な音に包まれた。

男そして父親そして夫の維持と最後の力を振り絞りなんとか3人合流して広島県を越えた。

何度来ても海の上の県境に自転車で居るというのが不思議な気持ちになる。こんな体験ほかにできるのだろうか。

初日47kmを走りきり、なんとか全員で初日ゴールの大三島に到達した。サイクリストの聖地は多々羅大橋の絵を書く老人が居ただけで、貸切状態になっていた。ああなんて絵になる自転車(ry

車輪をモチーフにしたこの穴から多々羅大橋を見るこの構図は母が発見した。

これがやりたかった2022。

GWにロードバイクで訪れた時のセルフパロディである。わずか4ヶ月後にまた来るなんて想像しなかった。しまなみ海道に「帰ってきた」と言いたい。

初日は想定より多く約50km。私もブロンプトンでは初めての距離だったが、意外なほどに疲れはなかった。

両親はというと、父の必然の足攣りがあったものの、2人ともそれほど無理なく走りきれたようだった(夜は息子のおごりを良いことにめちゃくちゃ飲むくらいには元気が残っていた)。

 

50kmというとおそらく一般的な人からすると自転車で進む距離ではないのかもしれない。50kmといえば定時で帰れた平日に軽く走るのに適した距離、という認識の私にはもう分からないが、おそらくはそうなのだと思う。自分には無理な、すごい人の世界の話だと思う人もいるかもしれない。

しかし、繰り返すが両親は運動習慣ゼロの中性脂肪に悩み階段と坂を避け文明の利器に依存することを良しとするごく一般的な中高年である。念願のブロンプトンを買ってからどこを走ったのかといえば河口湖1周。以上。そんな2人でも楽しみながら走れてしまった。

さすがに筋肉痛と尻の痛みに苦しんでいたが、逆に言えばその程度。ちゃんと電解質を補充すれば父のような愚かな目には遭わずに済むだろう。

ブロンプトンの純正サドルは優秀だが長距離ではクッションなりレーパンをアンダーでも履いたほうが良いかもしれない。私も慣らし終えていないBROOKSだったのでレーパンがなければ結構きつかったと思う。

 

初日の宿はサイクリストの聖地から10分くらい北に進んだ海沿いの宿泊施設、WAKKAをチョイス。2020年3月に出来たばかりの施設で、あまりにも良かったので別記事にしたのでこちらをどうぞ。

mountain-road.hatenablog.jp

続き

 

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